先日、久々に移民局へ行きました。ビザが新たに発行されたのでラベルを貼りに行っただけなのですが、移民局は独特の冷たい雰囲気がありあまり好きではない。スタッフからもやる気の無さがありありと表れている。しかし、その日は少々雰囲気が違うことに気づいたのです。
Kentは移民局が開くまで10分ほど外で待っていたのですが、すでに30人ほどの人が外で並んでいるいつもの光景です。日によってはかなり長い行列ができるといいますので、Kentはラッキーだったのかも知れません。ようやくドアが開き、ゾロゾロとカウンターに並ぶために中へと入っていったのですが、そこに一際声を張り上げている30半ばのアジア系男性スタッフが一人いました。どうやら一時的にドッと流れてくるカスタマーをさばく役目のようです。
パンパン両手を叩きながら声を張り上げます。
「ハイハイ、並んで並んでこっですよ」
「おめでとう!最初のカスタマーはあなた!ハイ、1番カウンターへどうぞ!」
「ハイ、ビザのラベルですね、ハイ、あちらですどうぞ!」
「今日のご機嫌はいかがですか?お客様。もう順番が来ましたね、ハイあちらです!」
並ぶ人たちはいったい何事?と皆その彼に釘付け。Kentの順番が来ると、
「Good morning, Sir?ハイ、あと5秒待って下さい。いや、もっと早いかも。なんだったら一緒にカウントダウンしましょう。5、4、サーーーン。ホラ、3番空きましたよ!どうぞ。」
正直、この人がいなくても並ぶためのポールがわかりやすく立っているため、順番は守られながら進んでいくでしょう。しかし、この一際大きな声の彼が声を張り上げるだけで、明らかにいつもとは異なる雰囲気がそこに生まれていました。並ぶ人たちは表情の無い仏頂面から笑顔へ、やる気の無かったスタッフに笑顔と緊張感が感じられます。列に並ぶオージーが負けないくらいの大声で彼に質問しました。
「この行列が落ち着いたらあんたどうするんだい?」
「今日はカスタマーが少ないから早目のランチでも食べてゆっくりするよ」
そこにいた全員の笑いを誘います。この人、すばらしいと思いませんか?あれだけ悪評高い移民局を、一人の力で、笑いで、瞬時に変えてしまうのです。
吉本興業が、大地震が起きたこの時期に、お笑いを引き続きやっていくという決意をホームページで語っています。
(以下一部抜粋)
このような時期に、「お笑い」に何ができるのか、「お笑い」のイベントを行うこと自体が不謹慎だとお考えになる方がいらっしゃることは覚悟しております。しかし、「笑い」というものは、元来、人を思いやり、支え合うという気持から生まれるものであり、一人一人が誰かと「つながっている」こと、誰かが「そこにいてくれる」という実感を分かち合うことで伝わっていくものであり、それは、「生きていく意欲の交換」でもあると、私たちは信じています。
私たちは、これまでの100年も、これからの100年も、そうあり続けたいと願い、行動することを決意いたしました。
「笑い」のあるところには、必ず、希望が生まれます。
「こんなときにあほやな」「考えなしやな」と言われるかもしれませんが、わたしたちは、こんなときだからこそ、希望に光を当てていきたいと真剣に願っております。
以上
笑いというのは、一時的にしろ永続的にしろ、人を変えるのは確かのでしょう。移民局の彼が良い証拠ではないでしょうか。吉本興業のこの決意は、賛否両論の中、大きな決意であり、一縷の望みにかけた芯のある決意ではないでしょうか。揺ぎ無い理念を掲げることができる会社は強いと思いませんか。
日本が一日も早く復興することを願って止みません。

