ところでKentにも親兄弟はいます。がしかし、Kentもアラフォーになると、自然の摂理で親兄弟もだんだん体力が落ちてきて、それ病気だ、それ入院だと何かと騒がしくなる。逆にこの世代でそのような問題を全く抱えていない人の方が少ないでしょう。しかし、両親が健在ということにはやはり感謝。
それでKent父。今年の4月に軽い脳梗塞と診断されKentも5月に一時帰国。帰国の最中に症状が悪化し、シドニーに戻るその日の午後に入院させ、その足で成田へ向かったのを今でも覚えている。
大事に至らず済んでいるようだが、介護認定も受け、週に2日程度はデイケアセンターで過ごしている様子。どんなところなのかKentは見たことがないが、どうやらその症状にもよるが、様々な手法でリハビリが行われていたり、脳を活性させるためにちょっとしたゲームや歌を他の利用者と共に歌ったり、趣味の時間を持ったり、その目的は様々という。
「えっ、歌?ゲーム?あの父がそんなことするのかね?」
「パチンコ台とタバコがあれば、間違いなく一日中いるね」
などと姉と話したものであるが、行き出したら結構楽しみにして通っているとのこと。
この間、そんな父から「絵手紙」なるものが届いた。
どうやらデイケアセンターで「絵手紙を誰かに描きましょう」なる時間があるようで、父はシドニーにいる息子に描きたいと言い出したとのこと。わざわざセンターの方から東京の実家にシドニーの住所を尋ねる電話が入ったという。
「そのうち届くと思うよ、絵手紙が」と、母。
先日、ポストにハガキが一枚。
ハガキを裏返すと、水彩画で少し青さの残る柿の絵ひとつ。
「えっ、意外と上手い」「この人、そんな才能あったの?」とKentは驚いた。
センター内でも「Kent父上手」なんて評判になっているとのこと。
しかしKentよりビックリしたのはKent母である。40年以上連れ添ってそんなこと全く知らなかった。自分の旦那が絵が描けるなんて・・・。
センターの日、父が毎回持ち帰る絵を見て、逆さにしたり透かしてみたり。どう見たところで「本当にこの年寄りジジィが描いたの?」「しかもなんだか味があって上手・・・」
驚きを隠せない母。
しかし40年の年期はそう簡単に母を納得させなかった。
この目で見ない限りは信じない・・・。
「今ここで、あたしの目の前で塗ってみろ」とばかりに「ぬりえ」を買ってきて父に差し出したらしい(バカな母)。
父、かたくなに拒否。
ぬりえを買って差し出す母も母だが、拒否する父は何様のつもり?大先生にでもなったつもりだろうか?
最近、父の顔を想像すると、ベレー帽をかぶった姿が思い浮かんで仕方がない。

